糖質制限ダイエットの記事で何度もケトン体と書いていますが詳しくは書いていませんでした。
今回はケトン体はどうゆう物質なのかとケトン体に関与する代謝経路など少し詳しく書いてみます。
化学名(物質名)など馴染みのない単語が多数出るので文系の方や生化学や生理学に触れた事のない人には難しい内容になると思いますがご了承ください
ちなみに筆者は久し振りに生化学の教科書を開こうと思ったら無くしていたので、新しく買いました!
ケトン体って一体なに?
ケトン体とは脂肪酸やケト原生アミノ酸の代謝産物であり、アセト酢酸・βヒドロキシ酪酸・アセトンの総称です。
脳のエネルギー源は通常はグルコースのみですが、飢餓・絶食等の状態でグルコースが足りなくなると脳でのエネルギー源となります。
また、骨格筋、心筋、腎臓などでもエネルギー源として使用する事ができます。
酸性の物質なので体内での合成量が多くなると酸塩基並行が崩れケトーシス、ケトアシドーシスの状態となります。
要するに飢饉が起きたときに備わっている人間の機能です!それを応用したのが糖質制限ダイエットになります!
ケトン体の代謝経路について、糖質制限ダイエットのより詳しい説明です!
代謝元となるのは主に脂肪酸です。
食事から摂取した場合、長鎖脂肪酸やTG(中性脂肪)など(皆さんが知っている脂身など)が膵臓から分泌されるリパーゼと言う酵素により分解され、ミセルと言う形になりリンパ管を通って肝臓に運ばれます。
中鎖脂肪酸などの分子量の小さい脂質はリパーゼにより分解され、門脈から直接肝臓に運ばれます。
ここで体内にグルコースが少ないと体は非常時のエネルギー源である脂肪酸を積極的にエネルギー源として使用します。
グルコースからATP(体がエネルギーとして使える形の物質です)を作る過程で解糖系、TCA回路、電子伝達系などありますがケトン体が作られるのに関与する以外の詳しい事は省かせて貰います。
解糖系という代謝経路でグルコースからアセチルCoAと言う物質ができます(脂肪酸も分解されるとアセチルCoAになります)
これがケトン体の元の物質です。
このアセチルCoAとオキサロ酢酸というのが反応してクエン酸となり大量のATPを作ることができます。
オキサロ酢酸はグルコースの補給が十分でないと不足してしまうのです。
するとアセチルCoAが余ってしまいます。
この状態ではエネルギーが十分に共有することができません。
脂肪酸からTCAサイクルでエネルギーを作るためにアセチルCoAが大量に供給されます。
TCAサイクルに入る前に、アセチルCoAだけあってもエネルギーは供給できないので別の方法でTCAサイクルに入ります。
これがケトン体利用の始まりです。
余剰のアセチルCoAは肝臓で分解されHMG-CoA(ヒドロキシメチルグルタリルCoA)となります。
このアセト酢酸はβヒドロキシ酪酸とアセトンになり、アセトンはエネルギーとして利用でないので呼気として排出され、βヒドロキシ酪酸は血液に放出されて必要な組織に行きます。その後で組織内(ミトコンドリア内)で再びアセチルCoAや、コハク酸となりTCAサイクルに入りATPを供給します。
これが糖質制限ダイエットの仕組みですね。
糖質をカットすると体脂肪を効率よくエネルギーとして使う仕組みが身体にはできているのです!
なぜ最低でも基礎代謝と同じ量のKcalを摂取しなければならないかというと、筋肉はアミノ酸という物質で構成されています。
身体にエネルギー源が足りなさすぎると、この筋肉のアミノ酸まで多く使おうとします。
アミノ酸は糖質に変換されたり、アセチルCoAになったりしてエネルギーになりますが、筋肉は本来の目的としてはエネルギーに変換される事ではなく身体を動かす事です。
なので、この筋肉が分解されてエネルギーとして使われるのは避けたいです。
ただ食事量を減らすと筋肉が不必要に分解されて基礎代謝も落ちるので、筋肉の分解をなるべく抑えるために最低でも基礎代謝と同じ量は食べましょうと言われるのです。
ケトン体は安全?危険?なの?
結論から言うと、安全であると言う意見や論文と危険であると言う意見や論文で賛否両論です。
管理栄養士としての意見で書かせて頂きます。
腎臓、肝臓、先天性の代謝疾患などなければ安全であると思います!(数十年単位でずっと続ければ危険かも知れませんが)
ケトン体自体は飢餓時のエネルギーとして利用が亢進しますが、しっかりと体重・食事管理をすれば問題ないはずです。
食事を満足に取れない高齢者、術後の高齢者、糖尿病(通常の糖尿病食)などでケトーシスになることは危険ですが、意図的に糖質を抜いも脂質とタンパク質でしっかりとした食事をしている限りは大丈夫だと個人的には思います。
現に、糖質制限で血糖値を管理して糖尿病をコントロールすることに成功している人もいるからです。
体の中のケトン体濃度の表です。
血中濃度 (μmol) :状態
200以下:ケトーシスではない
200~500:軽いケトーシス
500~3000:栄養学的ケトーシス(生理的ケトーシス)
2500~3500:運動後ケトーシス
3000~6000:飢餓時のケトーシス
15000~25000:ケトアシドーシス
これを見て頂ければ分かると思いますが、運動をしたり、飢餓時にもケトーシスになっているので問題はないことがわかります。
ですので個人的には危険ではないと意見させて頂きました。
体重を減らすダイエットと言うのは意図的にコントロールして軽い飢餓状態を作る訳です。
ケトアシドーシスと言うのは危険ですよ笑
何か疾患がない限りケトアシドーシスになる事はほぼないですので、糖質制限ダイエットでは安心してください。
一時的にエネルギー源をケトン体にしたからといって体調を悪くしたり何か病気になったりはしないです。むしろ、糖質制限ダイエットは体重が過多の人には一度は試して欲しいことです。
体重過多の健康な人が数ヶ月程度ケトジェニックダイエットをすれば体重が減少し、血圧・血糖(HbA1cも)・脂質の数字は下がり生活習慣病のリスクが下がると思います!
もちろん健康診断などで異常数値が出たりしたら糖質制限ダイエットは中止してください。
また、妊婦さん(体重を減らすことはあまりないと思いますが)や授乳婦さんが糖質制限をするときは絶対にお医者様に相談してください。
賛否両論ありますが、普段から糖質制限ダイエットをしてる人はこの期間は通常の食事にした方が良いです。
ケトン体についてのまとめ
今までの記事で糖質は悪のように捉えてしまった人がいるかもしれませんがそれは違います。
糖質と脂質を一緒に食べて1日の摂取エネルギーを超えてしまうのがダメなのです。
なので 糖質と脂質を一緒に食事で摂取してエネルギー過多にならなければ何も問題ありません。
しかし、糖質と脂質を同時に摂取する食事はカロリーが高い事が多いので注意してください。
糖質制限ダイエットも脂質制限ダイエットも両方メリット・デメリットがあるので絶対にこっちが良いとは言えないです。
自分で試してみて、体調、目的、金銭などなど考慮して行ってください!
たまにはこのような語り書き中心や勉強的な記事も書きますので是非参考にしてみてください。
質問などはTwitterからも受け付けておりますので、お気軽にどうぞ。
ランプちゃんねる(@TheLAmpChannel)Twitter
人気記事 管理栄養士で筋トレ歴5年以上の僕がおすすめするプロテインメーカー
1.糖質制限ダイエットでケトーシスに入るまでと入った後の食事メニューについて
2.糖質制限ダイエットを成功させるための3つテクニック!
3.「痩せる仕組み」本当にわかってますか?→ただ単に体重を減らせば良いわけじゃありません。